現在、検討されている公益法人制度改革に伴う新公益法人会計基準においては、公益法人の会計に関する研究会の令和5年度報告で示された「財務諸表における情報開示の充実に伴い、定期提出書類を簡素化」という考え方のもと、附属明細書に「財務規律適合性に係る明細」を追加し、次の内容を記載する方向となっています。
中期的収支均衡 |
別表Aに相当 |
中期的収支均衡の計算、収益事業等からの繰入額の計算、解消策の明細、公益充実資金の明細 |
公益目的事業比率 |
別表Bに相当 |
公益目的事業比率の計算 |
使徒不特定財産額 |
別表Cに相当 |
使途不特定財産額の計算、公益目的事業継続予備財産の明細 |
しかし、これまで、実務上、定期提出書類の作成は、決算作業が一段落した後に実施することが一般的で、この内容が財務諸表の一部になると、作成作業を前倒しする必要があることが懸念されていました。
この点、令和6年10月24日に公表された第69回公益法人の会計に関する研究会の議事録と令和6年10月31日に公表された第70回公益法人の会計に関する研究会の参考資料3によりますと、「財務規律適合性に係る明細」について、会計監査人設置法人以外の法人では、財務諸表と別途の作成が可能とする取扱いが検討されていることが明らかになりました。
〈第69回公益法人の会計に関する研究会 議事録(抜粋)〉
財務規律への適合性に関する事項を附属明細書に組み込むことによる法人の事務負担を考慮すべきではないかというご指摘もございます。これについては、いわゆる会計監査人設置法人以外の法人における取扱いの特例として検討したいと考えております。 |
会計監査人設置法人以外の法人に限った措置となるようですが、新公益法人会計基準適用に当たり、多くの公益法人にとっての朗報と言えそうです。
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