私立学校法改正に関しては、本コラムでもご紹介してまいりましたが、2023年5月8日に改正私立学校法(改正私立学校振興助成法も含む。)が公布され、2025年4月1日に施行されることになっています。今回の改正においては、下表のとおり、学校法人会計基準の根拠が私立学校振興助成法から私立学校法に移ることになり、準学校法人を含む全ての学校法人に統一的な会計ルールを適用することが盛り込まれています。
|
根拠 |
目的 |
適用対象 |
現行の会計基準 |
私立学校振興助成法 |
補助金の適正配分 |
経常費補助を受ける 学校法人 |
新会計基準 |
私立学校法 |
情報開示 |
全ての学校法人 |
また、現行の学校法人会計基準には規定されていなかった「財産目録」についても、学校法人会計基準に従う旨、改正私立学校法に規定されています。
このようなことから、学校法人会計基準の改正を行う必要があるため、文部科学省高等教育局に「学校法人会計基準の在り方に関する検討会(令和5年度)」を設置し、11月末までの期間で学校法人会計基準の改正の在り方について検討を行うこととされています。
そして、6月8日に開催された第1回検討会の配付資料の「資料5 学校法人会計基準 改正の方向性(案)」には次のような記載があります。
〇現在の学校法人会計基準は、これまでも外部報告を目的とする観点からの改正が行われてきたこと、広く学校法人の会計実務に定着しているものであることを踏まえ、現行の基準を前提としつつ、開示に適した基準とするために必要な改正を行う。
〇なお、令和7年度決算から新会計基準が適用されることを前提とすると、改正から施行までは1年程度となり、当該期間中に各学校法人が対応可能な改正内容であることが必要である。 このため、本検討会で検討する改正内容は、改正後の私立学校法の施行のために最低限必要な内容とし、その他の学校法人会計基準に関する課題については、当該改正の後に、中長期的に検討していくこととする。 |
この内容を踏まえると、現行の会計基準に基づく計算書類の体系を大きく変更することは意図されていないと見ることができそうです。
一方で、第1回検討会の議事録によると、ステークホルダー(財務報告利用者)をどのように考えるかという、会計基準の在り方を考えるにあたり、極めて本質的な議論が行われている様子を感じることができました。
いずれにしても、学校法人の皆様におかれましては、今後の検討会の動向を注視する必要がありそうです。
PICK UP NEWS一覧へ