平成29年度から一定規模(収益総額30億円、負債総額60億円)を超える社会福祉法人の会計監査が法定で義務付けられており、平成30年度の会計監査も終盤に入ってきています。
この間、会計監査を受けた社会福祉法人の関係者は会計監査の導入をどのように受け止めているのでしょうか。会計監査を受けるためには、社会福祉法人の運営や経理事務などについて、一定のガバナンス(法人運営における統制機能)や内部統制(業務が適切に実施される組織体制や仕組み)が必要です。
これまで所轄庁の指導監査(概ね1日程度で実施)を受けることはあっても、年間で数十日を超える監査を受けたことはないと思います。また、これまでとは違って、少なからず監査費用の負担も発生します。
社会福祉法人にとって、法定監査について法律の義務だから仕方なく受けるのか、それとも義務として受け止めながら、これを機会に法人運営に活用しようとするのかにより、随分受け止め方は異なると思います。
この点、みずほ情報総研株式会社が厚生労働省の社会福祉推進事業の補助金を使用して、平成 31 年3 月「平成30年度社会福祉法人に設置される会計監査人の導入効果等に関する調査研究事業」を公表されています。https://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/konkyu2019_01.pdf
この報告書は、「社会福祉法人会計監査人設置モデル事業」を実施している社会福祉法人を対象にアンケート調査を実施しています。
この報告書によると、会計監査人の指導的機能として、会計監査の過程でいろいろな会計指導を行い、法人の経理担当者の実務能力向上を実感されています。また、専門家のお墨付きによる法人経営の信頼性向上、適正な会計処理を通じた法人運営の透明性確保、内部統制等経営基盤の整備といった効果もあげられています。
一方、監査報酬の負担感や会計監査導入による法人の事務負担感を感じている社会福祉法人もいますが、概ね会計監査導入のメリットを享受している状況が見て取れます。
この辺は、最初に述べたように、会計監査を受ける社会福祉法人の姿勢によるところが大きいように思います。法律等により会計監査を受ける義務があるならば、それをできるだけ法人運営に活用しようという対応をすれば、費用対効果も後からついてくるのではないでしょうか。
弊監査法人も会計監査を通じて、そのような社会福祉法人のお役に立つことができるよう、ご支援したいと考えています。
PICK UP NEWS一覧へ