今回は、内部統制の6つの構成要素のうち、「リスクの評価と対応」及び「統制活動」について、地方自治体の特徴を民間企業と比較して整理します。
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説明 |
自治体の特徴(民間企業との違い) |
リスクの評価と対応 |
リスクを識別、評価し、適切な対応を選択するプロセス |
民間企業におけるリスクは業種や規模によって個性的であることが想定されるが、自治体では、団体間のリスクの相違は比較的少ないと考えられる。 |
統制活動 |
権限・職責の付与、職務分掌 |
既存の条例、規則、要綱の体系により細部にわたり網羅的に整備されている。ただし、運用面に不備があったり、現状に即して見直しがなされていなかったりすることがある。 |
民間企業において、J-S0Xを導入する際には、リスクをリストアップし、対応する統制活動を検討した上で、統制活動をフロー図等で文書化するという手順で内部統制を構築するという手法がとられましたが、上記を踏まえると、この手法は地方自治体にはなじまないと考えられます。
すなわち、地方自治体においては、既に厳格に整備された条例、規則、要綱により各団体に共通する基本的なリスクに対する統制が行われていると考えられることから、既存の統制活動から出発してそれがどのようなリスクを回避、低減するために設けられたものなのかを確認し、重複や欠落を発見することに重点を置くことが効率的と言えます。
前回においても述べたとおり、地方自治体の内部統制においては「業務の効率的かつ効果的な執行」を重視すべきですが、重複した統制活動が発見された場合、それを整理統合することにより、業務の効率化を図ることが可能となります。
そして、このような検証作業は、内部推進部局、評価部局、監査委員といった一部の部局が担当するのではなく、全職員が意識的に自らの業務に関連する統制活動の存在理由について自己点検するなど、全庁的な取組として展開することが、内部統制の充実に寄与するものと考えます。
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