みずほ情報総研が令和元年度に厚生労働省の国庫補助事業として実施した、標記の事業に関する事業報告書が同社のウェブサイトにおいて公表されています。
(https://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/r01konkyu2019_0401v2.pdf
https://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/pdf/r01konkyu2019_0402v2.pdf )
本報告書は、タイトルのとおり、小規模社会福祉法人(年間のサービス活動収益10 億円以下)の財務会計を対象としたものですが、こうした法人では、ごく少数の担当者が他の業務との兼任にて事務処理を行っているケースも多く、財務報告の質の確保が難しい状況となっている場合が多い状況にあります。
このような状況の中、同報告書では、法人及び所轄庁へのヒアリング調査の結果を踏まえ、全国社会福祉協議会の「モデル経理規程」の重点化とより具体的な「経理事務マニュアル」の作成が行われています。
経理規程については、小規模社会福祉法人の場合、私たちが所轄庁の行う指導監査に同行させて頂く際にも、策定自体がされていないことはあまりありませんが、「モデル経理規程」をそのまま使用されているケースをよく見受けます。しかし、「モデル経理規程」は大規模社会福祉法人を含めたすべての社会福祉法人を対象としており、小規模社会福祉法人では実態に即していない場合があります。
例えば、「別に定める」との内容が別に定められていなかったり、経理事務を外部に委託し、法人で会計伝票を起票していないにもかかわらず、すべての会計伝票に会計責任者が押印する旨の規定が置かれていたりしたケースについて、現実に即した規定に変更が望ましいことを指摘したことがあります。
ただし、これまでは、具体的な規定の変更は法人の判断に委ねられ、検討の参考となる情報も提供されていませんでした。この点、同報告書における「モデル経理規程」の重点化において作成された「小規模社会福祉法人向け経理規程例」は、小規模社会福祉法人の財務報告の信頼性を確保しながら、法人の実態に即した手続きの効率化を示すものであり、法人にとってのみならず、所轄庁における指導においても非常に有用なものとなっています。
また、上記の検討を踏まえた経理規程に対応して作成された「経理事務マニュアル」は、各小規模社会福祉法人における事務処理体制の水準向上や人材育成に役立つものとなっています。同報告書における「小規模社会福祉法人向け経理規程例」と「経理事務マニュアル」が、小規模社会福祉法人における適正な経理事務の運営に寄与することが期待されます。
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