大阪府において公益法人を所管している総務部法務課公益法人グループは、令和3年12月8日に「今なら間に合う!剰余金の解消策~特定費用準備資金~」を公表しました。
「今なら間に合う!」とありますが、近々、特定費用準備資金の取扱いが変更される予定があるというわけではなく、本年度の決算を3ヶ月ほど後に控えた現時点において、公益目的事業の収支の着地見込みを試算し、収支相償を満たさず剰余金が発生することが見込まれる場合、その解消策として、特定費用準備資金の積立ての検討を提案する内容となっています。
本資料には、具体的な検討過程の一例として、次のようなステップが示されています。
STEP① |
普段の理事会から… |
新規事業や既存事業の拡大等、特定費用準備資金の内容について検討 |
STEP② |
決算前に… |
STEP①の内容について不明点等があれば、行政庁に相談 |
STEP③ |
決算前の理事会にて… |
剰余金発生時の特定費用準備資金の積立てについて承認 |
STEP④ |
決算時に… |
特定費用準備資金の積立て |
ここで、ポイントとなるのは、STEP③において、特定費用準備資金の積立てについて、事前に理事会における機関決定が必要であるという点です。通常、年度開始前までに予算理事会の開催が予定されていますので、それまでの検討に要する時間を考えると、「今なら間に合う!」ことになります。
特定費用準備資金は、将来、具体的に予定している特定の事業費に支出することを目的として積み立てる資金ですので、予備費等、将来の一般的な備えや資金繰りのために保有している資金は特定費用準備資金に該当せず、例えば、新規事業の開始、既存事業の拡大、数年周期で開催するイベントや記念事業等の費用が対象となります。積立て対象事業の具体例としては、以下のようなものが列挙されています。
■現在行っている体験教室事業の他に、5年後に相談会事業を新たに開始する。 ■今まで行っている研修に加え、3年後に別のテーマの研修をスタートする。 ■奨学金助成事業において、4年後に助成対象者一人当たりの助成額の増額を開始す ■8年後に既存事業とは別で法人設立50周年記念イベントを開催する。 |
単に、翌年度に既存事業を同一規模で実施することを計画し、その財源として繰り越すということでは特定費用準備資金として位置づけることはできませんので、ご留意ください。また、特定費用準備資金については、以下の認定法施行規則第18条第3項の要件をすべて充たす必要があります。
1 当該資金の目的である活動を行うことが見込まれること。 2 他の資金と明確に区分して管理されていること。 3 当該資金の目的である支出に充てる場合を除くほか、取り崩すことができないも 4 積立限度額が合理的に算定されていること。 5 第3号の定め並びに積立限度額及びその算定の根拠について法第21条の規定の例 |
なお、積立て対象となる事業が新規事業である場合には、事業開始前に変更認定申請が必要となる場合もありますので、検討にあたって時間的な余裕をもって行う必要があることからも、本年度決算に「間に合う」うちに対応を進めることが必要となります。
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