前回、固定資産でない財産の管理の必要性と、現物管理の対象とするのかの範囲やその管理手続きを決める必要性について述べました。今回は、その実務としてどのような手続きをすべきかについて、これまでの法定監査や指導監査等の経験から、具体的にヒントになる事項を述べたいと思います。
まず、決めなければならないのは、法人の経理規程やそれに基づく物品管理規程などの規則を規定することが必要です。何故、物品を管理するのか、その範囲は何か、物品を管理する手続きを行う根拠として、経理規程や物品管理規程にそうしたことを規定します。
これで、法人として組織的に物品を管理するルールを定めることになりますので、これらの規程や規則に基づき実施することが明確になります。
次に、決めなければならないのは、現物管理する対象です。前回の例で言えば、パソコンやカメラなどの電子機器は比較的高額なものであり、簡単に場所の移動ができますので、なくなりやすいものと言えます。
一方、文房具やコピー用紙などの消耗品はどうでしょうか。比較的安価で簡単に場所の移動ができるのは電子機器と同じですが、仮になくなってもすぐ代用できるものがあることから、こうした消耗品は対象から除外した方が良いかもしれません。
この辺は、前回も述べたように、社会福祉法人の事業内容、法人規模、拠点数、金額的重要性などを勘案して法人自ら決めるしかありません。一律的な基準を設定することは実態を反映しないからです。したがって、現物管理の対象とする物品と対象外の消耗品を法人の実態に照らしてその範囲を決める必要があります。これができれば、自ずと現物管理する対象範囲が決まりますので、それを規定や規則で規定する流れになります。
最後に、決めなければならないのは、現物管理する手続きです。すでに固定資産の管理規程はあるでしょうから、それに準じて現物管理を行う手続きを規定することになります。ここで留意すべきは、固定資産との違いです。平たく言えば、どこまで固定資産の管理に準じて行うかどうかの判断になります。あまり厳格に規定すると、後の手続きが大変になります。この辺も法人の方針を決めてどこまで簡便的に行うかを規定することになります。
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