本コラムでもご紹介いたしましたように、令和7年4月1日に施行される私立学校法改正により、学校法人会計基準の根拠規定が私立学校振興助成法から私立学校法に移ることに伴い、「学校法人会計基準の在り方に関する検討会」において、学校法人会計基準改正の在り方について検討されました。
「学校法人会計基準の在り方に関する検討会」の報告書は令和6年1月31日に公表されましたが、報告書において示された考え方に基づき、令和6年7月29日に、文部科学省から「学校法人会計基準の一部を改正する省令案等のパブリックコメント(意見公募手続)の実施について」が公表されました。
パブリックコメントの対象は、「学校法人会計基準の一部を改正する省令案」、「私立学校振興助成法施行規則案」及び「文部科学大臣を所轄庁とする学校法人に係る私立学校振興助成法施行規則第二条第四号に掲げる所轄庁が定める書類(告示)案」の3つで、「私立学校振興助成法施行規則案」は今回新設される文部科学省令となります。
公表された内容をみると、下表のように、現行は資金収支計算書が1つ目の計算書類であるのに対し、新基準案では貸借対照表が1つ目となり、計算書類の順序が変更されています。
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現行 |
改正後 |
学校法人会計基準 |
資金収支計算書 活動区分資金収支計算書 資金収支内訳表 人件費支出内訳表 事業活動収支計算書 事業活動収支内訳表 貸借対照表 固定資産明細表 借入金明細表 基本金明細表 |
貸借対照表 事業活動収支計算書 資金収支計算書 活動区分資金収支計算書 附属明細書 固定資産明細書 借入金明細書 基本金明細書 財産目録 |
私⽴学校振興助成法施⾏規則 |
-(新設) |
事業活動収⽀内訳表 資⾦収⽀内訳表 ⼈件費⽀出内訳表 |
これは、現行基準の主な目的は補助金の適正配分であり、補助金がどのような資金支出に充当されたのか示すことが重要であるという考え方があるのに対し、新基準の主な目的はステークホルダーへの情報開示であり、企業会計の貸借対照表、損益計算書の順序に合わせるという考え方があるのではないかと思われます。
そのため、「学校法人会計基準の在り方に関する検討会」の報告書に示されたとおり、内容的には、改正私立学校法の施行のために最低限必要なものとなっているようですが、形式面で、条文の順序が大きく変更されています。
また、私学助成を受ける学校法人は、令和7年度以降も引き続き事業活動収支内訳表、資金収支内訳表、人件費支出内訳表を作成することが求められますが、新設される私立学校振興助成法施行規則に、現行基準のこれらの内訳表に係る規定が同内容で移ることが示されました。
なお、意見募集の期間は、令和6年9月3日午後2時までとなっています。
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