近年の公益法人における複数の不祥事の発生などを踏まえ、内閣府では、公益法人のガバナンスの更なる強化等について必要な検討を行うため、令和元年12月より「公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する有識者会議」を開催していましたが、令和2年11月30日開催の第10回会議の会議資料として、「公益法人のガバナンスの更なる強化等のために(最終とりまとめ案)」が公表されました。
本報告書では、「公益法人のガバナンスの更なる強化等に関する論点と取組の方向性」として、(1)役員や社員・評議員のより一層の機能発揮、(2)会計監査人の設置義務付け範囲の拡大、(3)透明性の確保の推進、(4)法人による自主的な取組の促進・支援、(5)残余の財産への行政庁の関与、の5つが掲げられています。以下では、それぞれの論点のポイントを抜粋します。
(1)役員や社員・評議員のより一層の機能発揮
・理事、監事及び評議員のうち、それぞれ、少なくとも一人については、法人外部の人材から選任することが有効 ・社員及び評議員の人数を定款で定めた理事の人数を超えるものとすることなど一定の人員を確保することは有効 ・公益財団法人の評議員にも、公益社団法人の社員と同様に、役員等の責任追及の訴えを提起することができる権限が付与される方向で検討すべき |
(2)会計監査人の設置義務付け範囲の拡大
・会計監査人の設置義務付け範囲を拡大すべき |
(3)透明性の確保の推進
・公益法人の定款、社員・評議員・理事・監事の名簿、事業報告書、計算書類、事業計画書、収支予算書などの書類について、「請求」という手続を経なくても「公益法人information」で直ちに閲覧することができるようにすべき |
(4)法人による自主的な取組の促進・支援
・行政庁において、法人のガバナンス強化に向けた自主的な取組を支援すべき |
(5)残余の財産への行政庁の関与
・公益認定の取消し等や解散の際の残余の財産の額や帰属先については、現行の届出のままで良いか、新たな措置が必要か、検討が必要 |
本報告書においても指摘されているように、「公益法人のガバナンスに関する制度の更なる改善や、法人の自主的・自律的な取組を一層促す運用の工夫が必要」であり、上記の論点について、単に公益法人に対する規制強化として受け止めるのではなく、それぞれの法人において、今一度、役職員が果たすべき役割を見つめ直す検討材料とする必要があると考えます。
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