令和元年12月11日に公布された「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の中で、「一般社団法人及び一般財団に関する法律」(以下「一般法人法」といいます。)も改正される法律の一つとなっています。改正内容のうち、下記の項目については、令和3年3月1日に施行されます。
・成年被後見人等についての役員の欠格事由の削除
改正後の一般法人法では、役員の欠格事由から「成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われる者」が削除されます。そのうえで、成年被後見人が役員に就任するには、その成年後見人が本人の同意を得た上で就任承諾しなければならないこととするなど、成年被後見人等が役員に就任する場合の要件が定められました。
・補償契約及び役員等のために締結される保険契約
役員が職務の執行に関し責任の追及に係る請求を受けた場合の費用(弁護士費用など)や第三者からの損害賠償請求に応じた場合などの損失について、法人が補償する契約の内容と手続について規定が整備されたほか、保険会社と締結する役員賠償責任保険についても、規定が整備されました。役員の職務の執行が萎縮することの防止につながると考えられます。
・議決権行使に係る委任状や議決権行使書面の閲覧謄写請求に係る拒絶事由の新設
改正前の一般法人法では、社員総会に自ら出席しない社員が議決権を行使するために法人に提出した委任状、議決権行使書面及び電磁的方法により議決権を行使した場合の電磁的記録について、法人は、社員からの閲覧謄写請求を拒絶することができないこととされていました。
一方、改正後は、社員がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったときなど、一定の事由に該当する場合には、社員からの閲覧謄写請求を拒絶することができることとなります。
・責任を追及する訴えに係る和解
改正により、監事設置一般社団法人において、理事等の責任追及の訴訟において和解をするときは、監事(監事が2人以上の場合は各監事)の同意を得なければならないことになりました。
また、改正項目のうち、下記の「社員総会資料の電子提供制度の導入」については、公布日から3年6か月以内に施行されることとなっています。
・社員総会資料の電子提供制度の導入
社員総会資料を法人のウェブサイトに掲載するなどの方法により社員に提供することを認める制度です。この制度を導入するためには、定款に定めることが必要となります。
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