12月2日付のコラムで、「第4号基本金の計上に係る経過措置について」を記述しました。そもそも基本金とは、「学校法人がその諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものとして、その事業活動収入のうちから組み入れた金額を基本金とする。」(学校法人会計基準第29条)と定義されています。
解釈は、少し難しいかもしれません。つまり、学校法人は、その本来の目的である教育活動や研究活動を円滑に行うため、必要な資金を継続的に保持することが必要です。その資金を留保したものが基本金なのです。もちろん、私立大学も学校法人なので基本金を計上しています。
一方、同じ大学でも国立大学にはこのような基本金の考え方はありません。国立大学の場合、教育研究活動を行うための基礎となる施設・設備の整備及び不動産の購入に要する経費は、当初から国からの施設整備費補助金として補助されることが想定されているためです。
私立大学と国立大学の会計処理の違いは基本金だけではありません。主要な財源が授業料収入や入学検定料収入である私立大学と、財源の多くを国からの運営費交付金や施設整備費補助金で賄う国立大学では、おのずと会計処理も異なるのです。しかしながら、財源が異なるといっても、同じ大学であり教育研究活動を行うことに違いはありません。同じように教育研究活動に要する経費を支出し、一般管理活動に要する経費を支出しているのです。
私立大学と国立大学の会計の違いは、その制定経緯の違いによるものと考えられます。私立大学の場合、昭和40年代に会計基準の検討が開始され、その後何度かの改正が加えられ現在に至っています。一方、国立大学の場合、平成16年度の法人化の際に基本的に独立行政法人会計基準を踏襲し会計基準ができているのです。但し、私立大学と国立大学の連携が進んでいる現状においては、両大学を比較する機会も増えています。将来的には、会計面においても両者を接近させる試みが必要となってくるでしょう。
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