前回、預り金の管理について、預り金サービス規程に規定されている事項と実際の運用との間にギャップがあり、預り金サービス規程が実態と一致していない事例を取り上げました。今回は、会計伝票の入力と承認手続きと承認手続きについてです。
社会福祉法人の中には、経理事務を担当する職員が法人本部や各拠点の取引に係る会計伝票を一人で入力しているケースがあります。これは、経理事務を担当する職員が少ないことが背景にあります。
それでも、法人本部や各拠点の管理責任者が確認及び承認手続きを実施しておれば良いのですが、業務多忙や経理事務を担当する職員に任せきりにしてしまい、こうした確認及び承認手続きが疎かになってしまうことがあります。
また、経理事務を担当する職員がいないか、あるいは職員の経理知識が充分でない場合、会計事務所に会計伝票の入力を任せるケースがあります。これも、会計事務所から適時報告を受けるなどして、法人本部や各拠点の取引に係る会計伝票を確認及び承認手続きを実施すれば良いのですが、会計事務所との連絡を適時に行わないため、やはり、こうした手続きが疎かになってしまうことがあります。
結果として、誰もチェックしていない取引の会計伝票がそのまま使用され、実態とは異なる科目や数値が財務諸表に計上されても、誰も把握できずにわからないというリスクが発生します。また、不正等の事故につながるリスクも考えられます。
この辺は、法人本部や各拠点の管理責任者の管理意識の問題かも知れません。法人本部や各拠点の取引に係る会計伝票の確認及び承認手続きは、内部けん制の観点から必須の手続きであるという認識を持ち、周知徹底をどこまで行えるかが鍵となります。
以上より、法人本部や各拠点の管理責任者が会計伝票の確認及び承認手続きの必要性を充分認識するとともに、適切な会計処理が実施されるよう周知徹底を図る必要があります。ただし、実際の運用に際しては、法人の規模や実施体制等を勘案して、それぞれの法人で実施可能な方法を検討し、できることから進めて行くのが現実的な対応になるものと考えます。
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