前回、現金預金の管理について、内部けん制の整備運用が充分に行われていない事例を取り上げました。今回は、預り金の管理についてです。
預り金の管理は、職員の給与の源泉徴収や報酬の源泉徴収などで発生する事務手続きですが、社会福祉法人に特有の事務手続きとして、介護施設で利用者の現金預金を預かるケースがあります。介護サービスを受ける利用者は年金などの収入があり、施設でそれほど現金預金を使わないため、預り金が多額になることがあります。
社会福祉法人では、通常、預り金サービス規程に基づき利用者別の入出金や残高について確認する事務手続きを行い、預り金の管理を行います。この預り金サービス規程の整備運用について、介護施設の状況に合ったものになっていない場合があります。
たとえば、利用者預り金における小口現金の上限が決められておらず、比較的多額の入出金が行われていたり、利用者預り金における出納管理料の取扱いが施設によりばらばらであったり、利用者別の預り金残高は把握しているが、利用者の預り金総額を把握するような手続きが規定されていなかったりすることがあります。
利用者の預り金は、厚労省局長通知に基づき、簿外で管理することになっています。それゆえ、厳格な管理が求められるところであり、万一のことがあれば損害賠償責任を負うことが考えられます。貴団体の預り金管理はいかがでしょうか。
その際には、適正な管理をしているかどうかが鍵になることから、その根拠として預り金サービス規程に必要な手続きが盛り込まれるとともに、その規程に基づき適正な手続きを行う必要があります。これにより、社会福祉法人に過重な負担を未然に防止する効果が期待されます。
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