公益法人等においては、補助金、寄附金等の対価性のない収入(特定収入)の占める割合が大きくなりますが、これにより賄われる課税仕入れ等の消費税額については、仕入控除税額から控除する調整計算を行うこととされています。
その理由としては、主に、次の3つが挙げられています。
①公益法人等は最終消費者である。(仕入れに対応する売上げがないという意味で消費税を負担する最終
消費者と同様の立場に立つ。)
②特定収入と課税仕入れの間に対価性はない。(課税仕入れは課税売上げのコストとしての性質がな
い。)
③特例を適用しないと恒常的に還付となる可能性がある。(課税売上げが少ないため、恒常的に仕入控除
税額が課税売上げに係る税額を上回ってしまう可能性がある。)
調整計算が必要となる特定収入は、例えば、次のようなものが該当します。
補助金、交付金、寄附金、出資に対する配当金、保険金、損害賠償金、負担金、会費等、喜捨金等 |
特定収入に係る調整計算のイメージ(課税売上高5億円超又は課税売上割合95%未満で一括比例配分方式を採用している場合)を示すと、下記のとおりです。
公益法人等において、特定収入に係る調整計算が行われる場合、上記イメージ図のとおり、通常の計算において控除対象外となる濃い灰色の部分(非課税売上げに対応する課税仕入れ等に係る税額)に加えて、薄い灰色の部分(特定収入に係る課税仕入れ等の税額)も課税売上げに係る消費税額から控除することができません。
ただし、公益法人等であっても、特定収入割合が5%を超えない場合、簡易課税方式を採用している場合には、調整計算の必要はありません。
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