2022年7月15日付けの本コラムでご紹介しましたように、内閣府公益認定等委員会から「特費のすすめ」と題した資料が公表されており、これから年度末に向けて、財務三基準の充足に不安のある公益法人においては、特定費用準備資金の活用を検討されていることもあるのではないかと思います。
そこで、今回は、特定費用準備資金が財務三基準に与える影響を整理したいと思います。下表は、「特費のすすめ」の質問4の回答として掲載された表をもとに追記を行ったものです。
収支相償 |
||
公益目的事業会計 |
公益目的事業会計以外 |
|
50%繰入れの場合 |
50%超繰入れの場合 |
|
・積立額:費用とみなす ※積立額の上限はない
・取崩額:収入とみなす |
・積立額:費用とみなす ※「(積立限度額-前期末残高)/残存年数」を限度とする ・取崩額:収入とみなす |
-(影響なし) |
公益目的事業比率 |
||
公益目的事業会計 |
公益目的事業会計以外 |
|
・積立額:費用とみなす ・取崩額:費用の減算とみなす |
・同左 ・同左 |
|
遊休財産の保有制限 |
||
公益目的事業会計 |
公益目的事業会計以外 |
|
・資金の残高:遊休財産額から除外 ・積立額:保有上限額の計算上、加算 ・取崩額:保有上限額の計算上、減算 |
・同左 ・-(影響なし) ・-(影響なし) |
留意すべき点について補足すると、次のとおりです。
〇公益目的事業に係る特定費用準備資金を取り崩した場合には収入に含まれることになる。
〇収益事業等からの利益の繰入額が50%超の場合には収支相償上の繰入額に限度がある。
〇公益目的事業会計以外に係る特定費用準備資金は遊休財産の保有制限には有利となるが、公益目的事業比率には不利となる。
このように、特定費用準備資金の積立額及び取崩額は会計上の費用や収益ではありませんが、認定法上の費用や費用の減算となり、公益目的事業会計又は公益目的事業会計以外のいずれで設定するかによって、財務三基準に及ぼす影響が異なることになります。
想定外の結果とならないよう、事前に、積み立てる年度だけでなく、取崩しを予定する年度における財務三基準の状況についてシミュレーションを行い、検証しておくことをお勧めします。
PICK UP NEWS一覧へ