文部科学省に設置された「学校法人会計基準の在り方に関する検討会」の報告書が令和6年1月31日に公表されました。
この報告書は、私立学校法の改正により学校法人会計基準の根拠が私立学校振興助成法から私立学校法に移ることを受け、その改正の在り方について、令和5年6月から12月にかけ、9回に渡って審議された結果が取りまとめられたものです。
報告書では、新学校法人会計基準の内容等について、「1.計算書類・附属明細書の体系について」、「2.附属明細書の内容について」、「3.注記項目の充実について」、「4.財産目録について」、「5.会計基準の特例について」、「6.施行時期」の項目に分けて説明されています。その主な内容は、次のとおりです。
項目 |
主な内容 |
計算書類・附属明細書の体系 |
・資金収支計算書、活動区分資金収支計算書、事業活動計算書、貸借対照表について、現在の表示方法を維持。 ・資金収支内訳表、人件費支出内訳表、事業活動収支内訳表は計算書類から除き、部門別のセグメント情報を注記。 |
附属明細書の内容 |
・固定資産明細書の増減理由の記載判断基準の「3,000万円」を削除。 ・借入金明細書の個別金融機関名は開示しない。 ・基本金明細書の第1号基本金の増減項目を貸借対照表の小科目項目としその詳細について記載することを求めない。 |
注記項目の充実 |
・新学校法人会計基準にセグメント(部門別)情報、子法人、重要な偶発債務、関連当事者との取引の内容に関する事項、重要な後発事象を追加もしくは明記。 |
財産目録 |
・学校法人会計基準の一項目として財産目録の作成基準を定める。 ・資産・負債ともに収益事業を区分する様式とし、収益事業元入金は相殺し、財産目録に記載しない。 |
会計基準の特例 |
・現状の知事所轄学校法人の特例の取扱いを維持。 |
施行時期 |
・令和7年4月から施行。 |
同検討会における検討の前提として、学校法人等の準備期間を十分に確保する観点から、大幅な取扱いの変更は困難であることを踏まえ、改正私立学校法の施行のために最低限必要な内容を検討対象としていることから、現行の取扱いが大きく変わる部分は少ないと考えられますが、「セグメント情報」については、今回、新たに採り入れられた項目です。「セグメント情報」については、次回、解説いたします。
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