2019年10月の消費税増税の財源等をもとに、2020年4月、高等学校等就学支援金の支給上限額の引上げ等の制度改正(私立高等学校授業料の実質無償化)が行われるともに、高等教育の修学支援新制度が開始されました。
両制度は、学費の軽減を目的として給付される補助金であるという点では共通しているのですが、制度上、支援の対象とする相手方が異なっていることから、会計処理も異なったものになる点に注意が必要です。
◆高等学校等就学支援金
「高等学校等就学支援金の支給に関する法律」第7条の規定により、学校による就学支援金の受領は、「代理受領」とされています。つまり、本来、生徒が受領すべきものについて、事務手続上、高等学校が生徒に代わって受領しているということになりますので、受領した就学支援金は、学校法人の事業活動収入として計上されることはなく、預り金の収支として取り扱われることになります。
◆高等教育の修学支援新制度
本制度は、「大学等における修学の支援に関する法律」に基づくものですが、授業料等の減免を実施した大学等に対して、減免に要する費用について交付金を交付するものとされています。つまり、制度上、支援の対象としているのは、大学等ということになりますので、受領した交付金は、学校法人の事業活動収入として会計処理されることになります。
なお、会計処理については、2019年11月25日付けの文部科学省高等教育局事務連絡「高等教育の修学支援新制度説明会におけるお問合せと回答について(追加連絡)」において、授業料等減免及び授業料減免に対する交付金の交付を収支両建てにより計上する方法が示されています。
以上を踏まえ、両者の会計処理をまとめると、下表のとおりとなります。
【授業料50に対して10の減免を行う場合】
制度 |
支援の対象 |
会計処理 |
高等学校等就学支援金 |
生徒 |
(生徒から就学支援金を差し引いた額の入金を受ける場合) ・支援金の入金時 (借)現金預金(支払資金) 10(貸)預り金(受入収入)10 ・授業料の入金時 (借)現金預金(支払資金) 40(貸)授業料(収入) 40 |
高等教育の修学支援新制度 |
大学等 |
・授業料の入金時 (借)現金預金(支払資金) 40(貸)授業料(収入) 40 ・授業料の減免時 (借)奨学費(支出) 10(貸)授業料(収入) 10 ・交付金の入金時 (借)現金預金(支払資金) 10(貸)補助金(収入)(注)10 |
(注)大学、短大、高専は国庫補助金、専修学校は地方公共団体補助金。
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