今回は、平成31年1月7日に公表された「学校法人制度の改善方策について」の2つ目の項目である「学校法人の情報公開の推進」について、概要をご紹介します。
学校法人については、現在でも私立学校法及び私立学校振興助成法に基づく複層的な情報公開の制度が整備されていますが、社会からの信頼を高め、その支援を受けるためには、学校法人関係者だけでなく、社会に向けた情報の公開の推進が必要とされます。
その際、「学校法人制度の改善方策について」では、大学を設置し、全国にわたる立地を前提とした文部科学大臣所轄法人と高等学校以下の学校のみを設置し、地域的に限定された運営を行う都道府県知事所轄法人とでは異なる取扱いを想定しています。具体的には、次の表のとおりです。
項目 |
文部科学大臣所轄法人 |
都道府県知事所轄法人 |
寄附行為、役員名簿 |
私立学校法上、公開を進めるべき |
|
貸借対照表、収支計算書 |
公表の対象とすべき |
公表を義務付けることには慎重であるべき |
上表の項目のうち、貸借対照表及び収支計算書を作成するための基準となる学校法人会計基準の適切な在り方については引き続き慎重に改善を検討するとともに、事業報告書に記載すべき内容を文部科学省としてさらに詳細に示すべきとしています。
また、現在、私立学校振興助成法に基づき私学助成を受ける学校法人を対象として行われている会計監査人による監査については、学校法人の財務情報の信頼性に第三者保証を与えるとの観点から、私立学校法に根拠規定を移すことを検討すべきとしています。
さらに、学校法人の出資比率が2分の1以上であるなど、学校法人と密接な関係を有する会社の状況について学内外への適切な説明と情報公開を進めることが求められるとしています。
以上の改善により、学校法人の経営状況を「見える化」し、経営改革にも役立てることが望まれています。
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