内閣府公益認定等委員会は、令和4年3月30日、「公益法人制度等に関するよくある質問(FAQ)」を追加・修正しました。このうち、追加された問Ⅵ-6-①~⑥は、令和3年6月に別表Hに関連して改訂された「定期提出書類の手引き 公益法人編」(以下「手引き」といいます。)の内容を補完するものとなっています。
まず、問Ⅵ-6-②では、「手引き」の改訂の趣旨について、次のように説明しています。
公益目的事業の財源については、法人全体として当該事業年度の活動財源が充足していたとしても、正味財産増減計算書内訳表上では公益目的事業の財源が不足するような整理としている場合が散見されます。 このような場合、公益目的事業財産として当初整理されなかった財産(例えば、法人会計の財産)をもって公益目的事業を行っている実態に照らして、当該財産を、会計上は他会計振替により公益目的事業会計に振り替えていない法人においても、公益目的事業財産の増加として捉え、公益目的取得財産残額の適正な算定のために別表Hに記載する必要があることを明記したものです。 |
(※公益目的取得財産残額:公益認定を取り消されたときに贈与すべき財産の額)
このような趣旨から、従来、公益目的増減差額(別表H(1)の1欄)がマイナスとなっていたケースにおいて、13欄に公益目的事業財産の増加として相当額を算入することを明確にされました。
ところで、別表H(1)では2欄において、前事業年度の1欄の金額を引き継いで計算することになっていますが、問Ⅵ-6-③では、「過年度の未算入分も含めた修正を行う必要があります。」とされています。しかし、厳密に「過年度の未算入分」を把握するためには、認定後の1欄の金額を全て見直す必要があると思われます。
また、改訂後の計算方法では、リースや借入による公益目的保有財産の取得があった場合、負債を財源とするにもかかわらず、公益目的取得財産残額が増加してしまうケースもありますが、この点についても、今回追加された問には触れられていません。
今回のFAQの追加では、これらの実務上の疑問点について、十分な説明が行われたものとは言い難く、さらに丁寧な説明が行われることを期待します。
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