新型コロナウイルスの発生を受けた事業計画及び収支予算の議決に係る理事会等の開催について、本コラムでは先月、3回にわたって、ご紹介いたしましたが、その後も、感染拡大が収束する兆しが見えず、令和2年4月7日には、7都道府県を対象とした緊急事態宣言が発令されるに至りました。
3月決算を迎える多くの非営利法人においても、現在、決算作業を進められている中、不安を感じられることも多いと思いますので、今回は、前回のコラム以降に、発出された通知等についてご紹介いたします。
【学校法人】
「新型コロナウイルス感染症の発生等に伴う私立学校法等における期限の定めのある規定の取扱いについて」(文部科学省 令和2年4月7日)
私立学校法及び私学振興助成法の関係規定又は通知における履行期限については、原則として法令の規定にしたがって運用するものの、新型コロナウイルス感染症の発生等により決算に関する会計処理、監査報告書の作成、理事会又は評議員会の開催など各学校法人や公認会計士等の業務に現に支障が生じている場合には、当該支障がなくなり次第できる限りすみやかに履行することとすることとされています。
【株式会社】
「株主総会運営に係るQ&A」(経済産業省、法務省 令和2年4月2日)
内閣府及び厚生労働省からは現在のところ、決算の議決に係る理事会等の開催についての通知は発出されておりませんが、株式会社向けに発出された本Q&Aについては、公益法人(社団法人)において参考になるものと思われます。
~「株主総会運営に係るQ&A」抜粋~
Q1株主総会の招集通知等において、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために出席を控えることを呼びかけることは可能ですか。 |
可能です。 |
Q2新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、会場に入場できる株主の人数を制限することは可能ですか。 |
可能です。 |
Q1の趣旨を踏まえると、社団法人においても、感染拡大防止策の一環として、社員総会への出席を控えるよう呼びかけることは、社員の健康に配慮した措置として許容されると考えられます。Q&Aにも記載されているように、併せて書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法を案内することが望ましいでしょう。
また、Q2の趣旨を踏まえると、法人会議室など一定の会場を定めれば、結果として、その会場に事実上社員が出席していなかったとしても、社員総会の開催は可能ということになるでしょう。
なお、経済産業省及び法務省のウェブサイトには、本Q&Aのほか、今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考えられるとの記載もあります。
もちろん、公益社団法人及び一般社団法人(移行法人)の監督官庁は、経済産業省及び法務省ではなく、行政庁(内閣府又は都道府県)の指示に従う必要があるものの、行政庁においても、この未曾有の危機への柔軟な対応方針を示されることを期待します。
PICK UP NEWS一覧へ