周知のとおり、経済産業省では、感染症拡大により、特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧とするため、事業全般に広く使える「持続化給付金」の申請を本年5月1日から来年1月15日までの期間で受け付けています。
この助成金は、資本金10億円以上の大企業を除く、中小企業を対象とし、常時使用する従業員数が2,000人以下の公益法人、一般法人等の非営利法人も対象となります。給付の上限を200万円とし、給付額の算定式は「A(対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間収入)」-「B(対象月の月間収入)」×12で計算されます。
上記の給付額の算定式における収入の額については、原則として、法人税申告における法人事業概況説明書に記載された月別売上金額を用いることとされていますが、非営利法人においては、法人税法上の収益事業に該当しない事業収入がある場合、法人事業概況説明書に全ての事業収入が網羅されていないケースもあり得ます。
例えば、所有する会館において不動産賃貸業を営むとともに、セミナーを開催している非営利型一般法人であれば、セミナーの受講料収入については、法人税法上の収益事業に該当せず、賃貸料収入のみ法人税が課税されています。
このように、法人税法上の収益事業に該当しない事業収入がある非営利法人に対応するため、法人事業概況説明書に代えて、正味財産増減計算書等、法人全体の事業収入が分かる書類を提出することができるものとする特例が設けられています。
この結果、公益法人等における持続化給付金の申請においては、次の選択ができることとなります。
対象となる収入額 |
添付書類 |
①法人税法上の収益事業に係る事業収入額 |
法人税申告書、法人事業概況説明書等 |
②法人全体の事業収入額 |
正味財産増減計算書等 |
ただし、寄付金、補助金、助成金、金利収入などはいずれの場合においても対象に含めないものとされています。一方、会費については事業収入に含めることが可能な旨、「持続化給付金に関するよくあるお問合せ」において明らかにされています。
次に、持続化給付金を実際に受給した場合の会計処理については、明確に示されたものがないのが現状です。まず、正味財産増減計算書における収益の計上区分についてですが、「公益法人会計基準の運用指針」において、経常収益の「受取補助金等」は「事業費等に充当する目的で毎年度経常的に受取るもの」とされており、持続化給付金は「毎年度経常的に受取るもの」ではなく、経常外収益に区分するという考え方もあり得ます。
しかし、減少した事業収益を補てんするための助成金であり、対応する経常費用が発生し続けているとするならば、経常収益に区分する方が実態に即しているのではないかと考えます。
一方、正味財産増減計算書内訳書における会計区分については、事業収入が減少した会計区分に計上することとなるものと考えます。いずれにしても、各法人において、実態に即した個別具体的な判断が必要となると考えます。
最初にも述べたとおり、持続化給付金の申請期限は来年1月15日までとなっています。現在は要件を満たしていない場合であっても、今後、要件を満たすことになることも考えられますので、定期的に申請が可能な状況となっていないか、検討してみるとよいかもしれません。
なお、詳細については、下記の経済産業省のホームページをご参照ください。
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