総務省の「地方公会計の活用の促進に関する研究会」において、平成30年3月30日付で「地方公会計の活用の促進に関する研究会報告書」が公表されています。その中で、地方公会計の活用に向けて言及されています。
そこでは、地方公会計は整備の段階から活用の段階へステージが移行していますが、活用の前提条件として適切に固定資産台帳を更新し、財務書類を適切に作成することが求められています。これができて初めて財務書類及び各種指標の類似団体比較、経年比較等により、多面的に状況を分析することが可能となります。
具体的には、「統一的な基準」による財務書類の作成により、財政状況やストック情報が「見える化」され、固定資産台帳の整備により公共施設マネジメントが推進されます。また、財務書類や固定資産台帳の内容をわかりやすく公表するとともに、資産管理や予算編成、行政評価等に活用されることが期待されています。
このように、地方公会計の活用を促進するインフラは整備されつつあります。今後は各地方自治体において、このインフラを充分に使いこなす実施体制と職員の会計リテラシーを上げる取組みが必要と考えます。
何故なら、いくら地方公会計の「ハコ」はできても、それに「タマシイ」を入れないと絵に描いた餅になりかねないからです。「ハコ」を使いこなすのは地方自治体の職員なので、職員自ら積極的にこの「ハコ」を使おうという意識と、それを実行ならしめる仕組みが必要と考えます。
特に、官庁会計の世界に慣れている職員の意識を変えることは容易ではありません。継続的な研修制度の実施をしたり、職員が会計情報を使わざるを得ない環境を整備することも必要です。
たとえば、地方公会計の活用を全庁的な取組みにするためのトップマネジメント(首長)のリーダーシップと職員が地方公会計を使用するシステムの構築です。
前者は、トップ自らが地方公会計の活用を宣言したり、財務書類の内容を住民にわかりやすく説明したりすることが考えられます。
後者は、予算編成や予算要求の際に地方公会計の会計情報を基礎情報に使用することを義務付けしたり、行政評価に会計情報と非財務情報を組み合わせた分析を取り入れたりすることが考えられます。
この点、先進自治体として、町田市や和光市の取組みが参考になると思います。町田市は課別・事業別行政評価シートによる事業マネジメントを実施されています。和光市は予算仕訳・固定資産台帳の正本化を実施されています。いずれの市も、トップダウンと全庁的な実施体制が整備され、地方公会計の活用を仕組み化されています。
(参考)http://www.soumu.go.jp/main_content/000543250.pdf
こうした成功モデルを参考にし、地方公会計の活用が行政経営に役に立つということを実感していただき、ぜひとも仕組み化していただければと思います。
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