統一的な基準による財務書類の作成・開示及び固定資産台帳の更新が毎年度適切に行われるとともに、公会計情報が資産管理や予算編成等により一層活用されるよう、日常の行財政運営における具体的な活用手法、公会計情報の分析及び更なる「見える化」等の検討を行うため、総務省において、令和元年6月から5回にわたり、「地方公会計の推進に関する研究会(令和元年度)」が開催され、その報告書が公表されました。
報告書では、まず、「固定資産台帳・財務書類の適切な作成等に向けて」として、仕訳作業や固定資産台帳登録の分散化・早期化を図ることなどにより、会計年度の翌年度末までには固定資産台帳・財務書類の作成・更新を完了させること、定期的な現物確認やチェックリストの活用により、内容の精緻化を図ることが必要であることが指摘されています。
続いて、「固定資産台帳・財務書類の活用に向けて」として、「固定資産台帳の資産管理等への活用」、「セグメント分析の推進」及び「各種指標を用いた比較分析」について記載されていますが、同時に、現状の「統一的な基準」の課題についても指摘されています。
例えば、国道や一般河川等の管理者と所有者が異なる資産(所有外資産)について、資産と負債がアンバランスに計上される場合があること、備忘価格1円による評価など固定資産の評価について実態と乖離がある場合があることなどがこれにあたります。このような「統一的な基準」における課題については基準を見直すことを含め、不断の検討が望まれるとされています。
今後、各自治体における取り組みが進展すれば、自ずと「統一的な基準」の見直しの方向性も明らかになると考えられます。過去に取り組まれた「基準モデル」及び「総務省方式改訂モデル」には、活用が十分に図られなかった面がありますので、「統一的な基準」において同じ轍を踏まないためにも、実務に根差した地方公会計の継続的な進展が望まれるところです。
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