令和2年度、3年度と、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、公益法人の立入検査の実施にも制約があり、例年と比較すると立入検査の件数が大幅に減少していましたが、令和4年度に入り、通常どおり、立入検査が実施されるようになってきているのではないでしょうか。
その際、前回の立入検査からの期間が長くなってしまうこともあり、法人内においても前回の指摘事項に対する改善状況が共有されていなかったり、行政庁側においても短期的な異動により検査のノウハウが蓄積されていなかったりすることが考えられます。
そこで、本コラムでは、2回に分けて、立入検査を受ける前のチェック項目を根拠法令とともにお示します。
(1)公益目的事業の実施状況
確認項目 |
主な根拠法令 |
・公益認定申請時に記載した公益目的事業の種類又は内容を法人の判断で自由に変更していないか。 |
認定法第11条、第13条 |
・事業実施に関連する規程等は整備されているか、また規程と実態が乖離していることはないか。 |
認定法第2条第4号 |
公益法人は、法人の自由な意思で公益目的事業を追加・変更することはできませんが、新たに国や地方公共団体からの補助事業や委託事業が開始されていたり、事業の見直しを行い、事業のメニューを変更したりしているにも関わらず、定期提出書類における報告のみで済ませてしまっている例が見受けられます。少しでも不安がある場合には、事前に行政庁へご相談されることをおすすめします。
(2)法人の経理
確認項目 |
主な根拠法令 |
・適切な事業区分への費用計上が行われているか。 |
認定法第15条、 |
・資産取得資金、特定費用準備資金、5号財産又は6号財産は所定の要件を満たしているか。 |
認定法規則第18条、 |
・通帳、印鑑等の現物管理は適切に行われているか。 |
認定法第5条第2号 |
公益法人においても、残念ながら、法人の役職員等による財産の毀損事案が発覚しており、「経理的基礎」に疑念を生じさせることになりますので、基本的な事項ではありますが、適切な管理体制の確立が必要となります。このほか、共通費用の配賦基準や特定費用準備資金等の要件についての指摘が比較的多いと思われます。
次回は、法人のガバナンス、情報開示についての項目をご紹介します。
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