地方公営企業においては、総計予算主義(地方自治法第210条)に基づき税込み方式で作成される決算報告書と消費税を損益計算に影響させない税抜き方式で作成される財務諸表とが併存しており、同一の科目について、税込み方式、税抜き方式、それぞれの計数を取扱い、決算作業を行う必要があります。
例えば、決算報告書の収益的収支は税込みで作成されますが、損益計算書は税抜きで作成されますので、両者の同一の科目の差額は消費税の額と一致するはずです。
まず、営業収益及び費用について、決算報告書の備考欄をみると、営業収益には「仮受消費税及び地方消費税○○円」、営業費用には「仮払消費税及び地方消費税○○円」と記載されていますが、決算額からこれらの金額を控除すると、損益計算書の営業収益及び営業費用と一致することをご確認頂けると思います。
次に、営業外収益及び営業外費用をみると、「仮受消費税及び地方消費税○○円」又は「仮払消費税及び地方消費税○○円」の他に、「消費税及び地方消費税還付金○○円」又は「消費税及び地方消費税○○円」との記載があるかと思います。
似たような名称のため、混同しそうですが、「仮受」及び「仮払」は収益、費用に係る消費税相当額を分離して計上しているものであるのに対して、「消費税及び地方消費税還付金」及び「消費税及び地方消費税」は、消費税額の計算の結果、納付又は還付となる税額のことです。
納付になる場合は、単純にいうと、仮受消費税(収益に関連し預かった消費税)が仮払消費税(費用に関連し支払った消費税)を上回っているということですが、税込み方式の決算報告書では、それらも含めて収益、支出に計上されてしまいます。
しかし、最終的に納付が必要になるということですから、決算報告書では、営業外費用「消費税及び地方消費税」に計上することになります。また、還付の場合は、これとは逆に、営業外収益「消費税及び地方消費税還付金」に計上することになります。
そして、営業外収益及び費用においては、これらの消費税の納付額又は還付額についても、決算報告書と損益計算書の差額の要因となります。
このように、作成した決算書を最終的に確認する際には、決算報告書と財務諸表の計数の差が消費税の処理によるものとして合理的に説明がつくことを確認しておく必要があります。
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