内閣府は、令和2年5月20日、「令和元年度公益法人の会計に関する諸課題の検討結果及び整理について」(以下「報告書」といいます。)及び「公益法人会計基準及び同運用指針の一部改正」を公表しました。
報告書は、令和元年度における「内閣府公益認定等委員会 公益法人の会計に関する研究会」の成果について、公益法人会計基準及び公益法人会計基準の運用指針を補完するものとして取りまとめられたものです。
報告書における主な検討項目の概要は、以下のとおりです。
検討項目 |
内容 |
1.「継続組織の前提」について |
公益法人会計基準における注記事項「継続事業の前提」の呼称を「継続組織の前提」に変更する。加えて、「継続組織の前提」についての明文の規定を追加する。 |
2.指定正味財産の明確化 |
寄附金の使途の多様な制約方法が考えられる中、会計基準などで予め定性的な基準を定めて機械的に適用することは現実的ではないことから、個別具体の事例を蓄積し、その成果をFAQなどにより周知する。 |
3.有価証券評価損益等に計上された「評価損益、売却損益、為替差損益」の注記による区分開示 |
法人が左記の情報を有益な情報と判断した場合には、注記の「その他」等の項目で注記すれば足り、注記様式も不要である。 |
4.有価証券評価損益の算定方法 |
洗替法と切放法の両者を認める現行の運用のままでよい。 |
5.「正味財産増減計算書」から |
現在の「正味財産増減計算書」から「活動計算書」へ名称を変更する。名称変更に伴って記載内容まで変更すべきか、変更する場合の影響については、次年度以降引き続き検討する。 |
6.事業費及び管理費の形態別分類の集約化と機能別分類 |
事業費及び管理費は正味財産増減計算書の構成要素であることから、上記5.を踏まえ、次年度以降引き続き検討する。 |
7.別表H簡便版について |
先ずは別表Hの見直しを進める。 |
また、「公益法人会計基準及び同運用指針の一部改正」については、上記1.に関連して、「第1 総則」に次の文言が追加されたほか、様式中の元号の表記が「平成」から「令和」に変更されています。
2 継続組織の前提 この会計基準は、公益法人が継続して活動することを前提としている。したがって、組織の清算や全事業の廃止など、組織の継続を予定していない場合は、この会計基準は適用されない。 |
なお、「公益法人会計基準及び同運用指針の一部改正」のうち、「継続組織の前提」に係る事項は、令和2年4月1日以降開始事業年度から適用されます。
本年度の報告書は、名称変更に係るものが中心であり、公益法人会計の実質的な内容の変更にまでは至っていませんが、令和2年度以降に行われることとなった「正味財産増減計算書」から「活動計算書」への名称変更やその構成要素に係る検討は、公益法人会計の実務に大きな影響を与えることとなると考えられますので、今後の検討状況を注視する必要があるといえます。
公益法人の会計、監査等のご相談は公友監査法人へ。
PICK UP NEWS一覧へ