文部科学省の公表によると、日本には、平成29年5月1日現在、86の国立大学、604の私立大学が存在します。公立大学89校を含めると、日本の大学総数は779校となります。
これらの大学は、それぞれ監事による監査や会計監査人による監査が行われています。そこで、今後数回に亘って、国立大学及び私立大学における監事や公認会計士による監査について説明します。1回目は、国立大学の監査とその根拠法令です。(なお、公立大学では、会計監査人による監査は法律で義務付けられているものではなく、また監事による監査はそれぞれの大学の定款で定められるものとなります。)
1.国立大学の監事監査
国立大学では監事を2名置き、業務監査と会計監査を行うこととなっています。根拠法令は以下のとおりです。
(監事の設置)
国立大学法人法第10条第1項 各国立大学法人に、役員として、その長である学長及び監事二人を置く。 |
(監事による業務監査)
国立大学法人法第11条第4項 監事は、国立大学法人の業務を監査する。この場合において、監事は、文部科学省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。 |
(監事による会計監査)
国立大学法人法第35条による独立行政法人通則法第38条第2項の読替え 国立大学法人等は、前項の規定により財務諸表を主務大臣に提出するときは、これに文部科学省令で定めるところにより作成した当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監査報告及び会計監査報告を添付しなけなければならない。 |
2.国立大学の会計監査人による監査
全ての国立大学では、会計監査人よる会計監査を受けなければなりません。根拠法令は以下のとおりです。なお、全ての国立大学では会計監査人による会計監査を受けなければなりませんが、独立行政法人では政令(独立行政法人の組織、運営及び管理に係る共通的な事項に関する政令)で定める基準に達しない場合には会計監査を受ける必要はありません。
(会計監査人による会計監査)
国立大学法人法第35条による独立行政法人通則法第39条第1項の読替え 国立大学法人は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。この場合において、会計監査人は、主務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。 |
3.国立大学の監事監査と会計監査人による監査の関係
特に会計監査においては、監事は会計監査人の監査に依拠することができます。つまり、監事は会計監査人の監査に関する報告を求め、その方法と結果を相当と認めることができます。
国立大学法人法第35条による独立行政法人通則法第39条の2第2項の読替え 監事は、その職務を行うため必要があると認めるときは、会計監査人に対し、その監査に関する報告を求めることができる。 |
次回は、私立大学の監査とその根拠法令について説明します。
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