日本は人口減少時代に突入し、少子高齢化は今後いっそう加速すると推計されています。私ども公友監査法人が対象としています公会計では、地方公共団体や学校法人、社会福祉法人など人口減少や少子高齢化の影響を受けやすい分野が多く含まれており、なかでも地方公共団体はそれらの影響を強く受けているといえます。そこで、総務省が公表している住民基本台帳人口より、都市(791市+東京23区=814団体)の人口の動きを調べてみました。
第1回目の今回は人口が多い都市についてお伝えします。
表:人口が多い都市
順位 |
団体名 |
H30.1.1 (人) |
H10.3.31 (人) |
増減数 (人) |
都道 府県 |
区分 |
前回順位 |
順位変動 |
備考 |
1 |
横浜市 |
3,737,845 |
3,325,216 |
412,629 |
神奈川県 |
政令市 |
1 |
- |
首都圏 |
2 |
大阪市 |
2,702,432 |
2,476,105 |
226,327 |
大阪府 |
政令市 |
2 |
- |
近畿圏 |
3 |
名古屋市 |
2,288,240 |
2,090,340 |
197,900 |
愛知県 |
政令市 |
3 |
- |
中部圏 |
4 |
札幌市 |
1,952,348 |
1,782,770 |
169,578 |
北海道 |
政令市 |
4 |
- |
- |
5 |
神戸市 |
1,542,935 |
1,447,833 |
95,102 |
兵庫県 |
政令市 |
5 |
- |
近畿圏 |
6 |
福岡市 |
1,529,040 |
1,260,371 |
268,669 |
福岡県 |
政令市 |
7 |
1 |
- |
7 |
川崎市 |
1,488,031 |
1,196,508 |
291,523 |
神奈川県 |
政令市 |
8 |
1 |
首都圏 |
8 |
京都市 |
1,415,775 |
1,397,141 |
18,634 |
京都府 |
政令市 |
6 |
▲ 2 |
近畿圏 |
9 |
さいたま市 |
1,292,016 |
1,096,623 |
195,393 |
埼玉県 |
政令市 |
10 |
1 |
首都圏 |
10 |
広島市 |
1,195,327 |
1,107,020 |
88,307 |
広島県 |
政令市 |
9 |
▲ 1 |
- |
11 |
仙台市 |
1,060,545 |
965,364 |
95,181 |
宮城県 |
政令市 |
12 |
1 |
- |
12 |
千葉市 |
967,832 |
851,843 |
115,989 |
千葉県 |
政令市 |
13 |
1 |
首都圏 |
13 |
北九州市 |
961,024 |
1,010,503 |
▲ 49,479 |
福岡県 |
政令市 |
11 |
▲ 2 |
- |
14 |
世田谷区 |
900,107 |
769,553 |
130,554 |
東京都 |
特別区 |
16 |
2 |
首都圏 |
15 |
堺市 |
840,622 |
825,750 |
14,872 |
大阪府 |
政令市 |
14 |
▲ 1 |
近畿圏 |
16 |
浜松市 |
807,013 |
766,420 |
40,593 |
静岡県 |
政令市 |
17 |
1 |
- |
17 |
新潟市 |
796,773 |
796,489 |
284 |
新潟県 |
政令市 |
15 |
▲ 2 |
- |
18 |
熊本市 |
734,317 |
700,462 |
33,855 |
熊本県 |
政令市 |
19 |
1 |
- |
19 |
練馬区 |
728,479 |
635,751 |
92,728 |
東京都 |
特別区 |
23 |
4 |
首都圏 |
20 |
大田区 |
723,341 |
636,474 |
86,867 |
東京都 |
特別区 |
22 |
2 |
首都圏 |
21 |
相模原市 |
718,192 |
658,244 |
59,948 |
神奈川県 |
政令市 |
21 |
- |
首都圏 |
22 |
岡山市 |
709,188 |
660,948 |
48,240 |
岡山県 |
政令市 |
20 |
▲ 2 |
- |
23 |
静岡市 |
706,287 |
734,231 |
▲ 27,944 |
静岡県 |
政令市 |
18 |
▲ 5 |
- |
24 |
江戸川区 |
695,366 |
599,915 |
95,451 |
東京都 |
特別区 |
25 |
1 |
首都圏 |
25 |
足立区 |
685,447 |
618,606 |
66,841 |
東京都 |
特別区 |
24 |
▲ 1 |
首都圏 |
26 |
船橋市 |
635,517 |
539,370 |
96,147 |
千葉県 |
中核市 |
27 |
1 |
首都圏 |
27 |
鹿児島市 |
605,506 |
592,229 |
13,277 |
鹿児島県 |
中核市 |
26 |
▲ 1 |
- |
28 |
川口市 |
600,050 |
505,136 |
94,914 |
埼玉県 |
中核市 |
29 |
1 |
首都圏 |
29 |
杉並区 |
564,489 |
500,421 |
64,068 |
東京都 |
特別区 |
31 |
2 |
首都圏 |
30 |
八王子市 |
563,178 |
500,000 |
63,178 |
東京都 |
中核市 |
32 |
2 |
首都圏 |
表は、平成30年1月1日時点の住民基本台帳人口より、人口の多い都市上位30位を抽出し20年前(平成10年3月31日)の住民基本台帳人口と比較したものです。(平成10年3月31日以後に市町村合併が行われた団体については、被合併自治体の平成10年3月31日時点の人口を加算して平成10年3月31日の人口を算出しています。)
人口が最も多いのは横浜市で20年前と変わっていません。平成30年1月1日時点の人口は373万人で、2位の大阪市(270万人)を100万人以上も上回っています。
横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市、神戸市の上位5位までは20年前と変化がありませんが、6位以下ではいくつか動きがみられます。なかでも最も動きが大きいのは静岡市で、20年前の18位から5ランク下がって23位となっています。
順位が最も上がったのは練馬区で、23位から19位と4ランク上がっています。また、20年前に28位にランクされていました姫路市と30位にランクされていました松山市はいずれも4ランク下がり、代わりに杉並区(29位)と八王子市(30位)がランクインしています。
政令市(20市)はすべてランクインしていますが、静岡市と北九州市が20年前よりも人口が減少しています。東京23区では、世田谷区、練馬区、大田区、江戸川区、足立区、杉並区の6区がランクインしており、世田谷区の人口は90万人で全体の14位、他の5区もうち4区が20年前より順位を上げています。中核市では船橋市、鹿児島市、川口市、八王子市の4市がランクインしています。このうち船橋市、川口市、八王子市の3市は首都圏の中核市です。
上位30位をみると次のことがわかります。
○20年前よりも人口が増加している都市が多数を占めており、大都市に人口が集まっている状況が伺える。
○①政令市、②特別区、③首都圏にある中核市がランクインしており、これらの条件に当てはまっていないのは27位の鹿児島市のみである。
○姫路市や松山市がランク外となるなど、地方都市(中核市)は人口の大きな伸びがみられていない。
○政令市でも人口の減少が進んでいる団体がある。
○首都圏の都市が14市含まれており、首都圏一極集中といわれる状況の一端を示している。
人口の増加が続く都市では、行政サービスへのニーズが増大、多様化、拡大している一方で、厳しい財政状況が続き、予算の削減や行政サービスを提供する職員の削減を進めざるを得ない状況かと思われます。多様化する行政ニーズに適切に対応していくためには、業務の効率化により一層努めていく必要があり、それを実現するための仕組みを構築しておく必要があります。
次回は、人口が少ない都市についてお伝えします。
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